田邊 裕貴普段子供向けコンテンツも制作しているので、
子供の思う「面白い」も分析してみました!
前回大人が「面白い」という気持ちを分析しましたが、子供はどうなのでしょう?
大人向けの感覚のまま企画を考えてしまうと、情報としては正しくても、子供にはうまく刺さらない…ということが起こりがちです。逆に言えば、子供が反応するポイントさえ押さえられれば、シンプルな内容でも驚くほど夢中になってもらえます。
今回は、その「大人と子供の面白さの違い」を整理してみようと思います。
- 大人と子供の「面白い」の違い
- 子供向け動画で特に重要な要素
- 企画・構成に落とし込むときの考え方
■ 記事の信頼性
この記事を書いている私は、アニメーション制作をして7年目。
企業アニメーションを中心に制作しています。
個人デザイナーとして活動し、企業や官公庁の多数の制作実績があります。
大人と子供の「面白い」の違い
大人が感じる「面白い」については、以下のコラムでまとめています。
こちらも合わせてご覧ください!かなり長文です。


大人と子供では、同じ「面白い」でも、実は反応している部分がかなり違います。
今回は、その違いを一つの表に整理してみました。
| 観点 | 大人 | 子供 |
|---|---|---|
| 見る理由 | 「自分に役立つ・関係がある」 | 「何これ?」「楽しそう!」 |
| 知りたい | 情報・理由・仕組みを知りたい | 未知のものを発見したい |
| 参加 | 頭の中で考える・推理する | 実際に選ぶ・答える・探す・真似する |
| 予想 | 「どうなる?」「なぜ?」 | 「次に何が出る?」「どっち?」 |
| 意外性 | ストーリー・情報の意外性 | 変身・登場・動き・見た目の変化など、直感的な意外性 |
| 感情 | 共感・感動・怒り・スカッとなど幅広い | ワクワク・驚き・笑い・ドキドキ・達成感が特に重要 |
| 主人公への興味 | 「この人の心理や人生を知りたい」 | 「このキャラ好き!」「頑張れ!」という愛着が強い |
| 自己投影 | 「自分だったらどうする?」 | 「自分もやりたい!」「自分もなりたい!」 |
| 問題解決 | 問題の原因・解決方法を知る | 一緒に考えて、解決する遊びとして楽しむ |
| 報酬 | 「なるほど」「勉強になった」「感動した」 | 「当たった!」「見つけた!」「できた!」 |
| 新奇性 | 知らない情報・新しい視点 | 新しいキャラ・場所・遊び・変化 |
| 繰り返し | 同じ展開は飽きやすい | 知っている展開をもう一度楽しむことも多い |
| 空想 | 現実との関連性を考えることが多い | 「もし○○だったら」をそのまま遊べる |
| 社会性 | 共感・議論・情報共有 | 「友達も知ってる」「一緒に遊べる」 |
| 視聴後 | 「人に話したい」「役立てたい」 | 「自分もやりたい」「真似したい」「もう一回見たい」 |
こうして並べてみると、同じ「面白い」という言葉の中に、実はまったく違う心理が詰まっていることが分かります。
特に大きな違いはこの5つ
表全体を眺めていくと、特に差が大きいと感じるポイントが5つありました。一つずつご紹介します。
①「知る」→「遊ぶ」
- 大人:「なぜこうなるんだろう?」
- 子供:「自分もやってみたい!」
子供の場合、知識そのものよりも、その知識が遊びにつながったときに強く反応するという特徴があります。
②「共感」→「キャラクターへの愛着」
- 大人:「この人の気持ち、分かる」
- 子供:「このキャラ好き!頑張れ!」
子供向けのコンテンツでは、キャラクターを「理解する」だけでなく、好きになる・応援することが、そのまま視聴継続につながりやすいです。
③「意外な情報」→「分かりやすい変化」
- 大人:「えっ、そうだったの?」
- 子供:「えっ!変身した!」
子供の場合、複雑な情報の意外性よりも、見た瞬間に分かる変化―動き・大きさ・色・キャラクターの登場など―のほうが使いやすい意外性になります。
④「理解した」→「できた!」
- 大人:「なるほど、分かった」
- 子供:「当たった!」「見つけた!」「できた!」
子供向けでは、「理解した」という感覚そのものよりも、小さな成功体験に変換することで、より強く響きます。
⑤「もっと知りたい」→「もっとやりたい」
- 大人:「この続きが知りたい」
- 子供:「次もやりたい!」「もっと見たい!」「自分もやりたい!」
大人は「情報の続き」を求めますが、子供は「体験の続き」を求めます。
だからこそ、子供向けでは見て終わりではなく、次の行動につながる仕掛けがあると強くなります。
構造そのものは、実は似ている
ここまで違いを挙げてきましたが、大人も子供も、根っこの構造自体は共通しています。
気になる → 予想する → 予想が揺さぶられる → 感情が動く → もっと知りたい
この流れ自体は変わりません。ただし、「何を刺激すると強く反応するか」がまったく違うのです。
- 大人:知識・意味・共感・人間心理・自己関連性・意外性・感情
- 子供:好奇心・遊び・参加・キャラクター・変化・驚き・ワクワク・達成感
一言でまとめるなら、以下のようになります。
子供向けコンテンツを考えるときは、「見せる」よりも「参加させる」に寄せていくことが、大きなポイントになりそうです。
子供向け動画で「面白さ」を設計するには?
子供向けの場合、視聴者(子供)の頭の中に、特に次の5つを作ることを意識すると分かりやすくなります。
- Question:「何これ?」→ 好奇心を作る。
- Participation:「自分ならどうする?」→ 視聴者を遊びに参加させる。
- Prediction:「次はこうなる!」→ 頭の中で予想させる。
- Emotion:「えっ!」「すごい!」「やった!」→ 感情を動かす。
- Reward:「分かった!」「見つけた!」「もっとやりたい!」→ 小さな成功体験を与える。
子供向けの「面白さ」の核心
子供向けを考えるうえで、特に大事なのがこの考え方です。
例えば、こんな違いがあります。
普通の動画:
「この動物はライオンです。」→子供:「自分は何をすればいい?」
面白い動画:
「この3匹の中にライオンがいます。どれだと思う?」→子供:「これ!」→動画:「正解!」→子供:「やった!」
後者の場合、子供は単に情報を受け取ったのではなく、
予想した → 参加した → 正解した → 喜んだ
という一連の体験をしていることになります。
ここが、子供向けコンテンツの面白さを考えるうえで、とても重要なポイントです。
子供向けコンテンツの面白さを設計するときの質問
実際に動画を作るときは、次の順番で考えていくと使いやすいです。
- なぜ子供は最初に気になる?→ 「何これ?」と思うものは何か?
- 子供自身をどう参加させる?→ 探す?選ぶ?考える?答える?真似する?
- 何を予想させる?→ 「次は何が起きる?」を作れるか?
- どう予想を揺さぶる?→ 「えっ!」となる変化は何か?
- どんな感情を起こす?→ ワクワク?笑い?驚き?ドキドキ?安心?達成感?
- どんな小さな報酬を与える?→ 正解?発見?成功?変身?逆転?宝物?
- 次に何をしたくさせる?→ 「もっと知りたい?」「もっと見たい?」「自分もやりたい?」
最も重要な考え方
子供向けでは、「面白いものを見せる」ではなく、「子供の頭の中で遊びを始めさせる」と考えると、企画がぐっと作りやすくなります。
「何だろう?」→「こうかな?」→「違った!」→「えー!」→「分かった!」→「やった!」→「じゃあ次は?」
という、頭の中の小さなゲームを、動画の中に連続して作っていくイメージです。
このゲームが続いている限り、子供は「動画を見ている」というより、動画の中で遊んでいる状態になります。
そして、子供向けの強いコンテンツには、以下の要素が組み合わさっています。
好奇心 × 参加 × 予測 × 意外性 × 感情 × 達成感 × キャラクターへの愛着
つまり、子供向けの「面白さ」とは、こう言い換えることができそうです。
「知りたい」だけでなく、「自分もやりたい」「当てたい」「見つけたい」「できた!」「このキャラを応援したい」「次はどうなる?」という欲求を、連続的に刺激すること
大人と子供、両方の「面白い」を理解することが企画の力になる
ここまで、大人と子供の「面白い」の違いを見てきました。
大人には「意味を理解する面白さ」を、子供には「体験して遊ぶ面白さ」を。
同じ「面白い」という言葉でも、対象によって刺激すべきポイントはまったく違います。
だからこそ、企画を考えるときはまず「誰に向けた動画なのか」を明確にすることが、何より大切だと改めて感じています。
私は普段、企業向けのアニメーションだけでなく、キャラクターを活かした子供向けコンテンツの企画・制作にも携わっています。「子供向けの動画を作りたいけど、何を大事にすればいいか分からない」という方は、まずは気軽にご相談ください。









